競合他社に負けない会社経営のカギ
――落合さんが社長業を始められてどれぐらい経つんですか?
父から継いで、もう12年目に入ります。
――12年前、会社を継ぐと決められたきっかけは何ですか?
元々は、群馬を離れて医薬品を作る機械の販売、営業をやっていました。
ある日見た父親の背中が小さく見えたというのがあって。それで自分から、会社を継ぐことを父に伝えました。
父もその時は顔に出さなかったんですけど、嬉しかったというのを後から聞いて。私もしばらく東北に住んでいたので、ようやく群馬に帰ってくるんだというような感覚だったんだと思いますね。
――落合さんが事業を継がれてからも、競合他社が減ることはない業界だと思うのですが、何か意識されていることはありますか?
お客様や周囲の細かい意見をよく聞いて、その中に必ずチャンスがありますので、それを拾って売り上げを広げていくというのを意識しています。
――例えば、お客さんからはどんなご意見が多いのですか?
やはり他のところで売ってない、扱ってないものを紹介してほしいという意見が多いですね。他社との差別化を図るお客様が多いです。
とはいえ、実は商談の中でも半分ぐらいはプライベートの世間話になることが多いんです。お客様との信頼関係があるので、商談も大体それぐらいの時間で十分足りちゃうのかなっていう感じですね。
――取り扱っている商品がテレビで取り上げられることもあると思うんですけど、反響も結構あったりするんですか?
そうですね。やはりテレビで特集組まれたりすると、もう次の日に問い合わせの電話が入ってきますね。
最近は、健康情報番組も非常に少なくなってきているんですけども、その反面、ニュースの1コーナーやバラエティ番組でも色々な大学が色んなものを研究しているというのが取り上げられるようになってきたように思います。こういう成分がこういう症状にはいいよ、ですとか、予防できるよ、ということを、今も昔も発信してくれるメディアがあるので、問い合わせも非常に増えてきているかなという印象ですね。
――そういったお問い合わせにも対応されているんですね。サプリックスさんの一番の強みって何ですか?
少し前までは、営業の人材が非常に少ない中で、どうやって営業していこうかというのが大きな課題でした。でも最近では、若手の人材が非常に増えてきてますので、改めて情報の共有というところに重点を置いています。そういった中で小回りが利くというんですかね、ちょうどいい人員配置になって、何か変更があってもすぐ1時間後には対応できるという部分が、やはり自社の強みになりますね。
逆風の時代も乗り越えた落合さんの仕事論
――落合さんはお仕事を頑張りすぎないようにしていると伺いました。
ええ、以前はかなり肩に力が入りすぎた仕事の仕方だったのだろうと思います。何をやってもうまくいかない時に全然業種の違う方と飲む機会があって。その方には「そんな、10回やって10回とも成功しないから、10回やって一つでも成功すれば、もうそれでいいんだ」っていう風に言われたんです。そういう言葉を大事にしてきたから、つらい時も乗り越えてこれたかなと思っています。
――程よい力加減で仕事ができている、ということでしょうか。もともとお仕事は好きなんですか?
好きですね。色んな方とお話ができるのが非常に楽しくて、充実した毎日を過ごしています。
――仕事してて良かったなって思った時ってどんな瞬間でしたか?
やはり1日を終えた時に飲むお酒をおいしいって思える瞬間ですね。
――毎日幸せということですか。
そうですそうです(笑)。
やっぱりお酒がおいしい時はそれなりに仕事もうまくいってる時なので、1日の終わりにお酒を飲んだ時に今日おいしくないなという時は、まだまだ完璧じゃなかったな、明日また頑張ろうと思っていますね。
――ビールが業務内容の点検になっているんですね(笑)。
そうですね。もうそこが一つの基準というんですかね。ビールとあと焼酎も飲みます。
――健康食品を販売されていますけど、飲み過ぎには気をつけてくださいね!
――お仕事が大変な時もあったと思うんですけども、そういう時はどう乗り越えたのですか?
大変な時はいろいろな同業者だけではなく、異業種の方ともお話をしていく中でアドバイスを頂いたりとか、励ましの言葉も頂いておりましたので、自分は一人じゃないんだと思うことで乗り切れてきたように思えます。仕事は違うんですけども、やはり同じ経営者同士でいろいろお話すると、経営者目線で支えられる部分が非常に多かったですね。
――今までで仕事で特に大変な時ってどんな時だったんですか?
健康食品業界が向かい風になった時が一番つらかったですね。
もう13年ぐらい前になると思うんですけど、その時は大きな健康ブームが来ていたんです。大手の企業さんはもちろん、若い企業さんもどんどん参入してきたんですけど、中には売り上げ欲しさに人を騙すような、過度な効果を謳ったような広告を打つ企業さんも少なくなくて。あと、成分的にきちんとしたものじゃないものが市場にすごい流通した時期があったりして、様々な要因が重なって、「健康食品は良くないものだ」「詐欺的なものではないか」というような話も非常に多く飛び交っていました。そういったときに、やはり一般の方からしてみると怪しいと疑われたり。色々な飲料メーカーさんも参入してきている中で、それほど有名ではないメーカーさんが見境なく怪しいと言われたりして、非常に販売に苦戦した時期がありましたね。
その時は、お客様には本当に安心安全な商品ですよと知っていただくために、商品一つ一つのために用意している謳い文句を全面的にアピールして、説明も徹底して行いました。
地道な取り組みではあったんですが、なんとか克服できて、今に至ります。
――落合さんは周りからも「癒し系」と言われているみたいですが、落合さんにとってこういうのは許せないっていうことはありますか?
そうですかね?基本おっとりしているからですかね。
でも先程の広告の話ではないですが、人を騙すような行為などでしょうか。
それから、誰に対しても信頼関係をきちんと築きたいので、私のポリシーみたいなものなんですが、まず相手のことを必ず信じるということから始めていっているんです。その気持ちに対して裏切られてしまうと、やはりちょっと怒りのような気持ちが湧いてきてしまうところがあると思います。
――人によってものの見方や価値観が違うことがあると思うのですが、そういったところはどう対応していらっしゃるんですか?
基準自体が人それぞれというのは自分の中でも理解しているんですが、人をよく見て、その方それぞれの基準はこうなんだっていうのを見極めていくというのが大事だと思っています。自分の考えが100%通るというわけではないので、そこのあたりはお互いの考えを見定めながらやりとりしていくように心がけています。
親から子へ、子から孫へ受け継ぎたい頼れる父の背中
――ご家族は何人家族ですか?
私の両親と、あと妻と息子が二人おります。
――落合さんにとって、どんなお父さんなんですか?
真面目で非常に厳しいです(笑)。お酒は私よりもはるかに強いので、飲み比べても私、ちょっと勝てないので。
でも尊敬できる父親だと思います。例えば、石ころ一つを100円で売れって言われても、私をはじめほとんどの人なら売ることって難しいと思うんですけど、父は100円でも500円でも必ず売ってくるような人なんです。やはり創業者として会社をゼロからスタートしてきたので、営業的なセンスがあるんだと思いますね。
商品の見極めがうまいんです。これが売れる、これがこの後10年後にこのモノが売れるっていうのは大体わかる方なので、そういうところは勉強になりますね。
――そんなお父さんを見てきて、今、落合さんと息子さんはどういう関係性ですか?
まだ下の息子が少年野球をやってまして、私はそのチームのコーチを務めているんですけども、家でもコーチと選手っていう感覚が残っちゃってるんで、怒られるかもしれないと思われて、あんまり話してこないですね。上の子に関しては野球のこともそうですけど、今は進学も控えてるので、受験するにあたってのどう勉強したらいいのかとアドバイスを聞いてくるような関係ですかね。
――子供が自分を頼ってくれると嬉しいですよね。
国内に留まらない、未来のサプリックスの姿
――今、社員さんと社長の関係ってどんな感じですか?
あくまで私から見た印象なんですが、先輩後輩って感じでしょうか。あとは年上の友達みたいな風に見られている可能性もあるとは思います。実際のところは社長と社員という立ち位置ではあるんですけど、距離感をやっぱり縮めていきたいと思ってるんです。若い世代の社員には自分から積極的に声をかけて、仕事の話だけではなくて、プライベートの話とかもするようにしています。
――会社の社員さんを募集されてると伺ったんですけど、どんな方が会社に合ってると思いますか?
まずは素直であることと、あとは元気があるってことですね。若い人に大切なのはもうその2つだと思っています。才能であったり、技術だとかはいずれついてくるものなので、まずは明るく元気で素直ということですね。
――お客さんが何百社もある中で、今後伸ばしていきたいところはありますか?
ここ近年では日本もグローバル化が進んできていますので、国内にだけではなくて、海外にも商品を流通させていきたいですね。あとは若い世代の育成に力を入れて取り組んでいきたいなと思ってます。